毎回のゴミ捨てのとき「ゴミ多いなー」と思うことはないでしょうか。
「ゴミ減らしたいな」と少しでも思ったことのある方には「コンポスト」がおすすめです。
この記事では、コンポストの始め方やメリット、デメリットについてご紹介します。
きっかけは小さなことでいい
手づくりコンポストをやっていると聞くと
「もともと環境問題に興味があったんでしょう」
と思われるかもしれません。
わが家は「ゴミ問題をどうにかしないと!」という大志を持って取り組んでいるわけではありません。
ちょっとした違和感とか、アンテナに引っかかることを受け止めてやってみただけなのです。
- ゴミが多いのイヤだな
- ゴミを捨てる回数減らしたいな
- 自治体指定の有料ゴミ袋が高いから、ゴミを減らしたいな
こんな小さいことがきっかけです。
- 子どもの教育にいいかも
- 環境問題考えるきっかけになるな
- SDGsにも連動してるな
とかは「あとづけ」です。
やってみて、後からだんだんよい効果がついてきた感じです。
小さなきっかけで始めても続けていけるほど手軽で簡単なので、共働き家庭にもおすすめです。
少しでも興味を持ったら、ぜひ始めてみてください。
コンポストとは?
コンポスト(compost)とは「堆肥」のことです。
また、そこから派生して
土の中の微生物やミミズの力を使って、野菜や肉などを分解して肥料にするための容器
もコンポストと呼んでいます。
コンポストの仕組み
コンポストの仕組みは簡単で、「自然の循環」を利用しているだけです。
自然の循環とは、
枯れた植物や動物の糞尿、死骸
↓
土の中の生物に分解され、栄養分となる
↓
植物が吸収して育つ
↓
動物が食べる
↓
くり返す(自然の循環)
このようなサイクルのことです。
画像引用元:公益財団法人 自然農法国際研究開発センター
コンポストは自然の循環の中の「土の中の微生物が動植物を分解する力を活用したもの」です。
微生物に活躍してもらうには、温度管理や水分管理がある程度必要です。
これを聞いて「面倒くさそう…」と思われた方もいるかもしれません。
ご安心ください。
テキトーにしているわが家でも2年続いています。
「置く場所」と「土の状態」のポイントをおさえておけば、簡単にできます。
詳しくは後述の「手づくりコンポストの始め方」で説明していきます。
うまく自然の仕組みを活用して、ぜひコンポストを始めてみましょう。
コンポストの種類
コンポストにはいろんなタイプがあります。
- 大型コンポスト
- ダンボールコンポスト
- ミミズコンポスト
- バッグ型コンポスト
- 電気コンポスト
それぞれどんなものかご紹介していきますね。
大型コンポスト
よく畑などで見かけるプラスチックの大きな容器です。
(2024/11/21 18:31:24時点 楽天市場調べ-詳細)
戸建てで、土の庭があれば置くことができます。
メリット | デメリット |
・大量の野菜や肉を分解できる | ・スペースをとる |
- 家庭菜園やガーデニングなど、自分で植物を育てたい
- 大家族で一気に大量の生ゴミを処理したい
ダンボールコンポスト
身近なダンボールを活用してコンポストを作る方法です。
家庭で簡単に始められる、1番メジャーなコンポストになります。
自分で揃えるのが手間であれば、セットで販売されているものを購入するのもおすすめです。
メリット | デメリット |
・ベランダのスペースでできる ・手軽に始められる |
・ダンボールを定期的に交換する必要あり |
ダンボールは水分に弱いので、3ヶ月〜6ヶ月くらいで交換する必要があります。
- 手軽にコンポストを始めてみたい
- 合わなかったらすぐにやめられる初期コストが低いものがいい
ミミズコンポスト
ミミズの分解力を活用して生ゴミを処理する方法です。
メリット | デメリット |
・分解が早い ・良質な肥料ができる |
・スペースをとる ・他のコンポストに比べて手間がかかる |
他のコンポストは微生物の力を活用するので分解に時間がかかりますが、ミミズがいることで分解の時間は早くなります。
また、ミミズの糞は肥料としての栄養にもなります。
ただ、ミミズが生育しやすいように環境への気遣いは他のコンポストより必要です。
- 家庭菜園などで良質な肥料がほしい
- ミミズが苦手ではない
バッグ型コンポスト
専用のバッグで生ゴミを処理する方法です。
メリット | デメリット |
・家の中でできる | ・分解できる量が少ない |
- 簡単に小さく始めたい
- ベランダや庭にコンポストを置きたいくない
電気コンポスト
電気の力で生ゴミを処理するコンポストで2種類あります。
- 乾燥型: 加熱乾燥して生ゴミの容量を減らす
- バイオ型: 微生物の力を借りて生ゴミを有機分解する
メリット | デメリット |
・かき混ぜる必要がない ・虫が発生しない |
・電気代がかかる ・置くスペースが必要 ・フィルターの交換などメンテナンスが必要 |
手間をかけずに、ゴミの量を減らしたい
以上、コンポストの種類を5つご紹介しました。
わが家はダンボールコンポストを参考に、発泡スチロールでやってみました。
家庭の状況に合わせたタイプを選んでみましょう。
手づくりコンポストの始め方
わが家は発泡スチロールをコンポストとして活用しています。
「コンポストの仕組み」をおさえて、土の様子を見ながら「これが適当かな」と自己判断でやっています。
それでもできてしまうくらい簡単です。
温度管理や水分管理のことなど 詳しく知りたい方は、本を一読されてから始めてみるのもおすすめです。
コンポストを始めるには、まず材料を揃えます。
みかん箱くらいの大きさであれば、これくらいの量が適当です。
- 腐葉土 20リットル ¥547
- もみがらくん炭 2リットル ¥318
- 発泡スチロール ¥0
- 全体を覆う布(虫よけカバー) ¥0
- ゴムバンド(虫よけカバー止め) ¥0
- スコップ ¥0
合計 ¥865
- 腐葉土 20リットル … 微生物のもと
- もみがらくん炭 2リットル … 臭いを抑える効果
腐葉土や もみがらくん炭はホームセンターで購入できます。
土の量は、コンポストの7分目くらいが目安です。
大きさに合わせて調整しましょう。
他にも 竹パウダー(消臭、分解促進効果)や竹炭の粉(消臭、水分調整効果)を入れてもいいようです。
わが家は余っていた「米ぬか」を入れました。
とりあえず、「腐葉土」があればコンポストはできますので、いろいろ揃えすぎなくても大丈夫です。
- 発砲スチロール
発泡スチロールは スーパーでいらなくなったものをいただきました。
ちなみに、わが家の発泡スチロールの大きさは
縦 40 × 横 48 × 高さ 28 ㎝
です。
ダンボールをコンポストとして使う際は、水分で底が抜けないように「すのこ」や「網目状の台(園芸用のトレーを逆さまにする)」の上に置く必要があります。
追加で用意しましょう。
- 全体を覆う布(虫よけカバー)
- ゴムバンド(虫よけカバー止め)
コンポストを開けたままにしておくと虫が卵を産みにきて繁殖してしまうので、虫よけカバーが必要です。
虫よけカバーはバスタオル、シーツなど家にあるいらない布を使えば大丈夫です。
わが家は 引っ越しの荷造りで使う布団梱包袋(不織布)を活用しました。
そして 家にあるゴムバンドや紐で、虫よけの布が飛ばないようにとめておきます。
- スコップ
生ゴミを投入する際や定期的にかき混ぜる必要があるのでスコップも必要です。
家になければ百均で購入できるもので大丈夫です。
材料が揃ったらコンポストを作っていきます。
- 容器に腐葉土などを入れる
- スコップでよくかき混ぜる
- 雨が当たらず、直射日光が当たらない、風通しがよいところに置く
準備は以上です。
めちゃくちゃ簡単!
ただし、コンポストを置く場所には気をつけましょう。
微生物が活動しやすい環境になるように
- 雨が当たらない
- 直射日光が当たらない
- 風通しがよい
という3つの条件がクリアできる場所に置きましょう。
コンポストの準備ができたら、さっそく使っていきましょう。
- 野菜などの生ゴミをコンポストの中に入れる
- スコップでかき混ぜる
- 週に1回くらいかき混ぜる
- 水分が多くなってきたら、土やぬかを追加する
使い方も簡単です。
順番に詳しく見ていきましょう。
- 野菜などの生ゴミをコンポストの中に入れる
1日の生ゴミの投入量はコンポストの大きさによって変わります。
みかん箱くらいの大きさなら、1日500g(キャベツ半玉くらいの重さ)が目安です。
余計な水分はできるだけ減らしてから投入します。
水分が多いと空気が入りにくく、嫌気性の発酵が進んでいきます。
そうするとアンモニア臭がしたり、虫が寄ってきたりします。
水分の多いスイカやメロンの皮は天日干ししてから投入したほうがよいそうです。
また、生ゴミの中には 微生物が分解しやすいもの、分解しにくいものがあります。
《入れてよいもの》
肉、魚、米、パン、野菜、果物、油、ぬか、コーヒーがら、お茶がら、
お菓子、ラーメンやカレーなど調理品の残りもの(水をきる)
《分解に時間がかかるもの》
玉ねぎの皮、ニンニクの皮、トウモロコシの芯、卵の殻、エビ・カニの殻
→ 細かくしてからコンポストに入れる
《入れてはいけないもの》
貝殻、大きな骨
(分解できずに残ってしまう)
「分解しにくいもの」「入れてはいけないもの」に注意して投入していきましょう。
- スコップでかき混ぜる
生ゴミを投入したらスコップでよくかき混ぜます。
分解しやすいように土をしっかりかぶせておきましょう。
- 週に1回くらいかき混ぜる
生ゴミを分解をしてくれる微生物は「好気性」といって、活発に活動するために酸素が必要です。
酸素を微生物に届けるためには、土をかき混ぜる必要があります。
かき混ぜないと、分解が進まずに生ゴミが腐って臭いが出てきたり 虫がわいたりします。
ぬか床と同じ要領ですね。
- 水分が多くなってきたら、土やぬかを追加する
水分量は50〜60%が微生物にとってよい状態とされています。
具体的には、
土をとってギュッと握る
↓
手を広げると土が2つくらいの塊に崩れる
という状態がベストです。
《水分が多い(べちゃべちゃの状態)場合》
→ 土や米ぬかを入れて、水分量を減らす
《水分が少ない(パサパサの状態)場合》
→ 水を少しずつ入れて、水分量を調整する
慣れてくるとスコップでかき混ぜながら水分量が多いか少ないか分かってくるので、わざわざ触る必要がなくなります。
わが家のコンポスト活用方法
基本的には 料理する度に出てきた生ゴミ、コーヒーがら、米ぬかをコンポストに入れています。
その他に、野菜の切れはしで出汁をとっています。
最後まで野菜を使い切れて、美味しくいただけるのでおすすめです。
- 野菜の切れはしをジップロックなどに入れて冷凍する
- 生ゴミが溜まったらお湯で戻して、出汁をとる
- ザルと油こし紙を使って野菜くずと出汁を分ける
ザルで野菜と出汁を分ける | 油こし紙で出汁をこす | キレイな出汁のできあがり |
- 出汁ガラの野菜くずを冷ましてコンポストへ投入
- かき混ぜる
だいたい4週間に1回くらいのペースで、出汁がらの野菜くずをコンポストに入れています。
野菜出汁はペットボトルに入れて冷蔵保存したり、小分けに冷凍したりしています。
この野菜出汁を味噌汁やポトフ、スープカレーに使っています。
手軽に使えて便利です。
手づくりコンポストをやってみた結果
2022年5月現在、コンポストを始めてから丸2年経ちました。
実際にやってみた経験も含めて、メリットデメリットをご紹介します。
コンポストのメリット
メリットは4つです。
- 生ゴミが減る
- ゴミへの関心が高まる
- 野菜や植物の堆肥にできる
- 子どものSDGs教育にもつながる
生ゴミが減る
4人家族で週2回のゴミ捨てが週1回になりました。
捨てる手間も減りますし、自治体指定の有料ゴミ袋の場合は金銭面でもメリットがあります。
ゴミへの関心が高まる
コンポストを導入したことで、生ゴミ以外のゴミに対しても意識するようになりました。
- 食べ物でも何でも過剰包装だな
- スーパーやホームセンターの資源回収を利用してみよう
- そもそも買いすぎなければ捨てなくていいのでは?
などなど、考えるようになりました。
そして考えに合わせて行動も変わってきたと感じています。
野菜や植物の堆肥にできる
野菜や植物を育てている方は、生ゴミが減らせるだけでなく堆肥としても活用できるので一石二鳥です。
注意点としては、コンポストをすぐに堆肥として使うことはできません。
堆肥にするには
- 野菜の投入をやめる
- 10日間、2日に1回かき混ぜる
- その後、週に1回水分50〜60%になっているかチェック
乾燥していたら水を入れてかき混ぜて調整する - 1〜2ヶ月すると水分30%ほどの堆肥になる
というやり方で進めます。
水分量については「手づくりコンポストの始め方」で詳しく説明しているのでご参考ください。
わが家では観葉植物を育てている程度ですが、今後は小さなプランターでよく食べる野菜を育ててみようと考えています。
子どものSDGs教育にもつながる
子どもと一緒にコンポストを使うことで、自然にゴミやそれに関わる問題に関心がでてきます。
SDGsの中に「つくる責任 つかう責任」という目標があります。
具体的には、ゴミを減らして再利用する「循環型社会」を目指しています。
地球規模のゴミ問題をどうするか考えるのは実感が持ちにくいものです。
まずは身近な自分の家のゴミがどれくらい出ているのか。
どうやったら減らせるのか。
こういったことから考えて始めてみるのがおすすめです。
【活用例】子どもと一緒にコンポストを使う
- 1日の生ゴミの量を見せる
→多い?少ない?どんなゴミが多い?減らせそう? - 毎日どれくらい分解したか見てみる
→どうして分解されるの?最後は土になってしまう - 子ども用コンポストを作って、分解しやすいもの分解しにくいものを実験
わが家は親の都合で始めたので後づけ的なメリットですが、やってみてよかったと思っています。
コンポストのデメリット
デメリットは3つです。
- 場所をとる
- 虫が発生することもある
- 定期的にかき混ぜる必要がある
具体的にみていきましょう。
場所をとる
大量の生ゴミを一気に投入するには、ゴミの量に合わせた大きめのコンポストが必要です。
毎回の料理で出る少量の生ゴミをその都度投入するなら、大きなコンポストは必要ありません。
とはいえ、室外機を置くくらいのスペースが必要です。
都市部で外に置くスペースがない場合は、室内で使える「バッグ型コンポスト」や「電気コンポストの高温乾燥型」がおすすめです。
虫が発生することもある
コンポストを始めるときに1番心配なのが「虫」ではないでしょうか。
虫が発生する条件は決まっているので、対策していきましょう。
具体的には、
- 外の土を入れない
- 生ゴミを入れるときはすぐに終わらせる
- 虫よけカバーをする
- 定期的にかき混ぜ、水分50〜60%を維持する
ということです。
畑や公園などの土を使うと、その中に虫が卵を産んでいてコンポストの中で孵化することもあります。
またコンポストを開けたままにしておくと虫が卵を産みにくることもあります。
市販の腐葉土を活用し、コンポストを開けて生ゴミを投入するときは素早く済ませましょう。
そして外から虫を呼び寄せないようにするためには、コンポストの環境を微生物にとってよい状態にするのが1番です。
「手づくりコンポストの始め方」で詳しく説明していますのでご参考ください。
定期的にかき混ぜる必要がある
どんなことでも、手間がかかるとなかなか続かないのではないでしょうか。
「手づくりコンポストの始め方」でも説明したように、かき混ぜないと発酵が進んで腐臭が出てきたり虫が発生したりします。
週に1回はこの「かき混ぜる」という手間をかける必要があります。
かき混ぜるのが面倒という方は、普段のルーチンに組み込んでみたらうまくいくのでおすすめです。
休日の朝一に起きてカーテン開けたら パッと終わらせる、という感じでやってみたり。
どうしてもかき混ぜるのがイヤなら、「電気コンポスト」がおすすめです。
コストはかかりますが、自動でかき混ぜてくれるので便利です。
【まとめ】手づくりコンポスト
いかがだったでしょうか?
手づくりコンポストは 低コストで簡単に始められて、そんなに手間もかかりません。
- ゴミ捨ての回数を減らしたい
- 自治体指定の有料ゴミ袋の購入頻度を減らしたい
そんな小さなきっかけからでも十分に続けることができます。
始めてみて合わなければ、いつでも簡単にやめることもできます。
気になる方はぜひ1度やってみてください。
少しでも参考にしてもらえると嬉しいです。
参考文献
この記事を書くにあたって参考にした書籍を記載しておきます。
有機農産物普及・堆肥化推進協会「やってみませんかダンボールコンポスト 生ごみを土に還してやさしい生活」合同出版,2016年6月
赤星たみこ「もったいないぞ!エコの国ニッポンの知恵」毎日新聞社,2007年3月
佐原みどり 著、中村好男 監修「生ゴミを食べてもらうミミズ御殿の作り方 ミミズ・コンポスト完全マニュアル」ヴォイス,2000年8月
滝沢秀一 監修「食品ロス「もったいない」をみんなで考える3 ごみ置き場から見た食品ロス」あかね書房,2022年4月