生まれて数ヶ月もすると、赤ちゃんは興味のあるものに手を伸ばして触ろうとします。
これは「手を動かして成長したい!」というサインです。
子どもの興味に合わせて、手を思う存分に使える活動を準備してみましょう。
「つかんで落とす」お仕事のねらい
0歳〜1歳の子どもは「自分が思うように手足を動かしたい!」という欲求が爆発する「運動の敏感期」です。
特に手は、脳の発達に大きく影響するものです。
そんな手を使った「つかんで落とす」お仕事には2つのねらいがあります。
- 手や指先を思うように動かせるようになる
- 集中力を身につけていく
- 手や指先を思うように動かせるようになる
落とすものを徐々に小さくしていくことで
手全体を使う「つかむ」 → 指先の力を調整する「つまむ」
という動きを自然に体得していきます。
手を自由に動かせるようになることで、これからの成長につながるさまざまな活動の土台を築くことを目指しています。
- 集中力を身につけていく
つかんで落とすお仕事は
ボール→ペットボトルキャップ→コイン→ストロー→つまようじ
という流れで進んでいきます。
- 徐々に小さく細くなるものを指先の力を調整して「つまむ」
- 徐々に小さくなっていく穴に「落とす」
ということによって集中して取り組むことを身につけていきます。
集中は、子どもの脳を発達させるためにとても重要な要素です。
子どもからのサイン!「つかんで落とす」お仕事のはじめどき
子どもは そのときの成長に1番必要なものに強く興味をもちます。
子どもを観察して、ちょうどよいタイミングで 子どもに合ったお仕事を用意していきましょう。
《子どもからのサイン》
- ボールをつかみたがる、ボールをカゴなどに入れたがる
- ボールよりも小さなものをつかめるようになってきた
- 溝や穴、家具などの隙間にものを入れたり落としたりする
子どもからのサインは1人ひとりちがいます。
子どもがどんな風に手を動かしたがっているのか、意識して観察してみましょう。
簡単手づくり 月例別「つかんで落とす」お仕事
子どもの興味に合わせて、道具を準備してみましょう。
百均などで材料をそろえて、簡単に用意することができます。
ボール落とし【6ヶ月頃〜】
ボールをつかめるようになってきたら、「ボール落とし」を用意してみましょう。
ボール落としの作り方
- ボール 3〜5個
- ボール用のカゴ 1つ
- ボール落とし用の入れ物 1つ
※ 写真ではボール用のカゴは写っていません。
- ボールは柔らかく、子どもがつかみやすい大きさのものにする
- ボール落とし用の入れ物は、透明のものを準備する
ボール落とし用の入れ物は、中身が見える透明のほうが子どもの興味をひきます。
大きめのタッパーやプラスチックボウルなど、家にあるものを活用できます。
フタはボールの大きさに合わせてカットして設置します。
わが家は透明ボウルにクリアファイルでフタをしてテープでとめました。
ボールを全部落としたあとは、入れ物を逆さまにして取り出す必要があるのが難点です。
おすすめは、大きめのタッパーで作ることです。
簡単に開け閉めできて、何度もくり返し取り組むことができます。
ボール落としの提示
道具が準備できたら、子どもにゆっくりと見本をみせていきます。
提示について詳しく知りたい方は、 こちらをぜひご覧ください。
- ボールをつかむ
- ボールを穴に落とす
- 全部落としたら、フタをあけて元に戻す
- 終わったら棚に戻す
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
ペットボトルキャップ落とし【8ヶ月頃〜】
ボールより小さいものをつかめるようになってきたら、ペットボトルキャップ落としを用意してみましょう。
ペットボトルキャップ落としの作り方
- ペットボトルキャップ 10個
- ペットボトルキャップ用のカゴ 1つ
- ペットボトルキャップ落とし用の入れ物 1つ
ペットボトルキャップ以外でも、子どもの手におさまる大きさのものであればOKです。
直径3㎝くらいのボールやプラスチックブロックなど、家にあるものを活用できます。
ペットボトルキャップ落としの作り方も簡単です。
- ペットボトルキャップを2個ずつテープでとめる
- フタにキャップの大きさに合わせた穴をあける
- これで完成!
ペットボトルキャップ落としの提示
道具が準備できたら、子どもにゆっくりと見本をみせていきます。
提示について詳しく知りたい方は、こちらをぜひご覧ください。
- ペットボトルキャップをつかむ
- ペットボトルキャップを穴に落とす
- 全部落としたら、フタをあけて元に戻す
- 終わったら棚に戻す
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
ペットボトルキャップ落としの応用編「玉転がし」
ペットボトルキャップくらいの大きさをつかめるようになると、玉転がしにも興味が出てきます。
玉が転がっていく様子や転がる音が楽しく、感覚を刺激します。
わが家の経験ですが、3歳を過ぎても玉転がしは大好きで、玉転がしを積み木やレールと組み合わせて遊ぶようになりました。
シンプルだからこそ、遊びを発展させやすいのが玉転がしのよいところです。
コイン落とし【1歳頃〜】
カードなどの薄いものをつかみたがるようになってきたら、コイン落としを用意してみましょう。
いきなりコインを落とすのが難しそうなら、コインの前に、カード落としをやってみるのもおすすめです。
子どもの手や指の動きに合わせて、徐々に小さいものを落とせるように工夫してみましょう。
コイン落としの作り方
- コイン 10枚程度
- コイン用の入れ物 1つ
- コイン落とし用の入れ物 1つ
コインは実際のお金でもOKです。
わが家はアルゴというゲームのチップを使いました。
コイン落としの入れ物は、透明の貯金箱が簡単に準備できておすすめです。
タッパーのフタに コインが通る穴をあけてもOKです。
どちらにせよ、コインが落ちたことが見える「透明」な入れ物にしましょう。
コイン落としの入れ物は、中身が見える透明がおすすめ
材料が準備できたら、トレーに入れてセットします。
コイン落としの提示
道具が準備できたら、子どもにゆっくりと見本をみせていきます。
提示について詳しく知りたい方は、こちらをぜひご覧ください。
- コインをつまむ
- コインを穴に落とす
- 全部落としたら、フタをあけて元に戻す
- 終わったら棚に戻す
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
コイン落としは、穴に落とすところが子どもにとって難しいポイントです。
コインの向きがちがうと落とせません。
子どもが苦戦していたら、一息ついたタイミングで 苦戦ポイントに絞ってゆっくり提示してみましょう。
コイン落としやってみた様子
実際にコイン落としをやったときの様子をご紹介します。
コインの向きがちがうと入らないので、最初は試行錯誤しています。
そのうちにコインの向きを合わせて落としていくようになりました。
ストロー落とし【1歳頃〜】
細いものをつまもうとするようになったら、ストロー落としを用意してみましょう。
ストロー落としの作り方
- ストロー 5〜10本程度
- ストロー用の入れ物 1つ
- ストロー落とし用の入れ物 1つ
ストロー落としの入れ物は、ドリンクジャーがおすすめです。
家にあるタッパーやケースを活用することもできます。
ストロー落としの作り方も簡単です。
- ストローを15㎝程度にカットする
用意したストロー落としのケースに合わせてカットします。
ストローの曲がる部分は使いません。
- フタにストローが通る穴をあける
ドリンクジャーならすでに穴があいたフタなのでそのまま使えます。
- 完成!
カット部分で子どもがケガをしないように、ストローをまっすぐカットしましょう
ストロー落としの提示
道具が準備できたら、子どもにゆっくりと見本をみせていきます。
提示について詳しく知りたい方は、こちらをぜひご覧ください。
- ストローを親指、人差し指、中指の3指でつまむ
- ストローを穴に落とす
- 全部落としたら、フタをあけて元に戻す
- 終わったら棚に戻す
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
子どもが苦戦していたら、一息ついたタイミングで 苦戦ポイントに絞ってゆっくり提示してみましょう。
つまようじ落とし【1歳半頃〜】
ストロー落としに慣れてきたら、落とすものをさらに細くしていきます。
つまようじ落としを用意してみましょう。
つまようじ落としの作り方
- つまようじ 10本程度
- つまようじ用の入れ物 1つ
- つまようじ落とし用の入れ物 1つ
つまようじの先端はカットしておきましょう
このようにカットしておくと安全に使えます。
つまようじ落としの入れ物は、市販のつまようじ入れだとすぐに使えます。
わが家では、綿棒ケースを活用してフタに小さな穴をあけました。
準備した材料をセットして完成です。
つまようじ落としの提示
道具が準備できたら、子どもにゆっくりと見本をみせていきます。
提示について詳しく知りたい方は、こちらをぜひご覧ください。
- つまようじをつまむ
- つまようじを穴に落とす
- 全部落としたら、フタをあけて元に戻す
- 終わったら棚に戻す
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
子どもが苦戦していたら、一息ついたタイミングで 苦戦ポイントに絞ってゆっくり提示してみましょう。
つまようじ落としをやってみた様子
子どもがつまようじ落としをやった様子をご紹介します。
最初は利き手ではない左手で、親指と人差し指ではさんで落としていました。
そのうちに利き手の右手を使って、3指でつまんで落とすようになりました。
「つかんで落とす」ができたら、次の活動は?
親指、人差し指、中指の3本が思うように使えるようになってきたら、指先を使った活動に進んでいきます。
具体的には、ピンセットを使ったあけ移し、お箸を使ったあけ移し、円柱さし、などのお仕事です。
子どもの興味に合わせて用意してみましょう。
まとめ 「つかんで落とす」お仕事
子どもは「手を思うように動かしたい!」といろんなものに手を伸ばします。
そのときの成長に合った活動を用意すると、子どもは強い興味をもって繰り返し取り組みます。
ぜひ子どもの様子を観察して、環境を用意してみましょう。