モンテッソーリ教育

学びの探究の種をまく|モンテッソーリの「文化教育」とは?

子どもは さまざまなことに強い興味をもって、のめり込みます。

昆虫、植物、魚、石、宇宙、…など。

ここでは言葉と数以外の範囲に対して活動していく「文化教育」についてみていきます。

 




モンテッソーリ教育の5分野の「文化教育」

モンテッソーリ教育では、0〜3歳の時期に「体を自在に動かせる」「感覚を整理する」という土台を身につけ、子どもの興味に合わせてその後の知的教育に進んでいきます。

 

《モンテッソーリ教育の5分野》

日常生活の練習(運動の敏感期)
感覚教育(感覚の敏感期)
知的教育
言語教育
(言葉の敏感期)
算数教育
(数の敏感期)
文化教育
(文化の敏感期)
    この部分

 

言葉と数以外にも興味が出てきたら、文化教育へと進んでいきます。

文化教育のもとになる「文化の敏感期」とは

あることに強い興味をもって熱中する時期を「敏感期」と言います。

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文化教育は「文化の敏感期」がもとになっています。

「文化」という表現はモンテッソーリ教育独特のものです。

内容としては、言葉と数以外に対して出てくる興味をまとめて文化の敏感期としています

例えば、動物、植物、昆虫、岩石、宇宙、世界の国々、時の流れなどです。

モンテッソーリ「文化教育」の目的とは

モンテッソーリの文化教育の目的は 大きく2つです。

  1. 子どもの視野を広げる
  2. たくさんの「探究の種」をまく

 

  1. 子どもの視野を広げる

文化教育は、言葉と数以外の幅広い分野を横断的に学びます。

地理、生物、歴史など1つひとつは関係していなくても、それらを学ぶ目的は同じです。

  • 広い視野で物事を見ることができるようになる
  • いくつかの視点で物事を見ることができるようになる

このようなことを目指しています。

そして 視野が広がることで、さまざまな「ちがい」を受け入れる姿勢が身についていきます。

 

  1. たくさんの「探究の種」をまく

モンテッソーリ教育では「吸収する力が1番大きい幼児期に、なるべくたくさんの種をまく」ことを目指しています。

子どもに暗記させることが目的ではなく、幅広い分野を紹介して子どもの中に「探究の種」をまくことが目的です。

その種がいつ実を結ぶのかはだれにも分かりませんし、種をまいても芽は出ないかもしれません。

それは子どもが1人ひとりちがう人間だからです。

大人にできることは、なるべく多くのきっかけを提供し、子どもがどう感じて進んでいくのかを見守ることなのです。

 



モンテッソーリ「文化教育」の全体像とは

文化教育の全体像をみていきましょう。

2歳 日常生活の練習
3歳 日常生活の練習 感覚教育 運動
4歳 健康
感覚教育 言語教育 植物 動物 歴史 音楽 宗教 美術 地質 地理 算数教育
5歳 体育
6歳 分野を横断して学ぶ
←        文化教育       →

参考:松浦公紀「モンテッソーリ教育が見守る子どもの学び」学研,2004年6月,P.116

 

子どもは成長するにつれ、活動の範囲をどんどんと広げていきます。

母親の胎内 → 家の中 → 公園、保育園、商店街 → 学校 …

というようにです。

その中でさまざまなことに出会い、興味をもつようになります。

言語教育と算数教育には含まれない、子どもの多種多様な興味に対応するのが「文化教育」になります。

 

文化教育を進める基本的な流れは「具体から抽象へ」「全体から部分へ」という順番です。

この順番で文化教育の各分野をまとめると このようになります。

活動の名称
地理 全体

部分
宇宙と星の誕生、太陽系の惑星の紹介
陸と海の地球儀、土、水、空気の紹介、色つき地球儀
地球儀から平面地図へ、平面地図パズル、世界地図パズル、日本地図パズル
国旗の紹介、国歌の紹介、民族衣装の紹介、世界の通貨の紹介
地球の構造、対称地形図
生物 全体

部分
生物と無生物の紹介、動物と植物の紹介
動物の絵カード、動物物語
植物の絵カード、植物物語
動物の分類、植物の分類
動物の分布、動物の骨組み、食物連鎖
花の解剖、葉の解剖
植物のタンス、葉のタンス
歴史 全体

部分
きのう・きょう・あしたの紹介
1週間の曜日の紹介
1年の月と季節の紹介
1年の月と行事の紹介
カレンダー作り
時計の紹介
タイムライン

文化教育の活動はこれがすべてではありません。

この範囲にこだわらず、子どもの興味に合わせて進めていきます。

 



まとめ モンテッソーリの「文化教育」とは

子どもの幅広い興味に対応したのがモンテッソーリの文化教育です。

内容は幅広いですが、活動方法はモンテッソーリ教育の基本に沿って進めます。

  • 具体的なものに触れるところから始まる
  • 大きな範囲から小さな範囲へと進む

子どもの興味に合わせて、または興味のきっかけに、さまざまな分野に触れる機会をつくってみましょう。

 

参考文献

この記事を書くために参考にした書籍などを記載しておきます。

 

相良敦子「お母さんの「敏感期」 モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる」文文藝春秋,1994年1月

相良敦子「モンテッソーリ教育を受けた子どもたち」河出書房新社,2009年12月

相良敦子「モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」講談社,1985年6月

松浦公紀「モンテッソーリ教育が見守る子どもの学び」学研,2004年6月

松浦公紀「0〜3歳のちから モンテッソーリ教育が見守る乳幼児の育ちと大人の心得」学研,2005年6月

松浦広紀 監修「モンテッソーリ教育に学ぶ子どもの見方