「メタルインセッツ」で書く準備が整い、文字に興味が出てきたら、砂文字板でひらがなを書く準備をしてみましょう。
子どもからのサイン!「ひらがな砂文字板」のはじめどき
文字に興味が出てくる4歳ごろからがおすすめです。
具体的な子どもからのサインは、こんなかんじです。
- 文字に興味が出てきて、「これはなんて読むの?」と聞くようになる
- 絵本などでよく見る文字を理解して、自分で声に出して読みたがる
- お絵描きで小さな丸を描くなど、しなやかな手の動きができるようになる
文字への興味や手の発達をキャッチしたら、砂文字板のお仕事に誘ってみましょう。
「ひらがな砂文字板」とは?
砂文字板は、ザラザラした文字を指でなぞって発音することで文字を体得する教具です。
モンテッソーリの言語教育では、メタルインセッツの次のステップに位置づけられています。
《モンテッソーリの言語教育の流れ》
話し言葉 | |
語彙を豊かにする | |
↓ | |
書き言葉 | |
書き方 | 読み方 |
●書き方の間接準備 ・音節あそび ●書き方への直接準備 ・メタルインセッツ ・砂文字板 ・絵カードあわせ ・文字ならべ ・単語ならべ ・文字探し・小さな黒板 ・なぞり文字 ・市松模様の紙 ●書き方の完成 ・清音・濁音・半濁音の紹介 ・特殊音節の紹介 |
●単語を読む ・物と名前カード ・小さいバスケットⅠ、Ⅱ ・小さい本Ⅰ、Ⅱ ・絵カードあわせ ●短文を読む ・小さい本Ⅲ ・赤いカードあそびⅠ、Ⅱ ●文章を読む ・絵本を読む ・科学的に分類された絵カード |
↓ | |
文法 | |
品詞の機能 | |
↓ | |
文章構成 | |
主語と述語 |
参考:松浦公紀「モンテッソーリ教育が見守る子どもの学び」学研,2004年6月,P94-95
ひらがな砂文字板は需要が少ないのか、市販のものは少ないようです。
アルファベットは取り扱いが多くあります。
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また、minneやCreemaでは、美しい木製の砂文字板が販売されています。
ちょっとお値段が…という方は、手づくりしてみましょう。
「ひらがな砂文字板」のねらい
砂文字板のねらいは、五感を刺激して文字を体得することです。
特に3つの感覚器官を使って文字を書くことを身につけます。
視覚: 文字を見る、指の動きを見る
触覚: ザラザラを指で触る
聴覚: 文字を発音する
簡単手づくり「ひらがな砂文字板」のお仕事
わが家では、ひらがなとカタカナの両面で作りました。
作成時間は2倍かかるので、まずはひらがなのみで作ってみるのがおすすめです。
「ひらがな砂文字板」の作り方(無料データ配布!)
ここでは、文字を右寄せにした砂文字板の作り方をご紹介します。
子どもが砂文字板を手でしっかりおさえて書きやすいのがメリットです。
砂文字板のPDFデータはこちら。出力すればすぐに砂文字板が作れます。
カタカナ、アルファベットも用意していますので、ぜひご活用ください。
《 ひらがな砂文字板 》
↓ 左利き用もご用意しました ↓
《 カタカナ砂文字板 》
《 アルファベット砂文字板 》
※ ひらがな、カタカナは学習に最適な游教科書体を採用しています。
※ アルファベットは大文字が游教科書体、小文字が黒体です。学習に最適なブロック体に近いものを採用しています。
できるだけ時短で作りたい方は、自分で印刷せずに 市販のカードを活用するのもおすすめです。
百均のひらがなカードやくもんのひらがなカードが便利です。
- A4コピー用紙
- ラミネート用紙
- グリッターグルー or カラーサンド
グリッターグルーは百均で購入できます。
カラーサンド(色砂)はネットで手軽に購入できます。
グリッターグルー とカラーサンドは、メリット・デメリットを把握してご家庭の状況に合わせて選びましょう。
グリッターグルー
【メリット】
- 百均ですぐ手に入る
- 砂文字を短時間で作れる
【デメリット】
- なぞると指にグリッターがつく
- しばらく使うと塗り直しが必要
カラーサンド(色砂)
【メリット】
- 何度なぞっても指につかない
- 長く使える
【デメリット】
- 肌の弱い子どもはザラザラが痛い
- 砂文字を作るのに時間がかかる
- A4を4分割にし、文字を右寄せにする
枠線をつけて印刷すると、カットするのがラクです。
清音のみだと46文字、濁音、半濁音まで入れると71文字になります。
とりあえず砂文字板を試してみたい方は46文字までにしましょう。
- ラミネートする
百均のラミネートは端を残してカットする必要があります。
すべての文字に対して端を残すのは割に合わないので、百均はおすすめしません。
家にラミネートがない場合は、キンコーズやカンプリでもラミネートを利用できます。
- カットする
8.5 × 12.5 ㎝でカットしました。
角がとがっているのが気になる方は、四隅を丸くカットしましょう。
- 文字をグリッターグルーで塗る
グリッターグルーは何色かのセット販売です。
あ行は赤色、か行は青色、など 行や母音によって色分けしていくのがおすすめです。
《カラーサンド(色砂)を使う場合》
- 木工用ボンドで文字を塗り、カラーサンド(色砂)をかける
- ボンドが乾いたら、カラーサンドの上からさらにボンドを塗る
※ ボンドを上から塗らないと砂がポロポロ落ちてきてしまいます
- 乾かして完成!
グリッターグルー | カラーサンド |
制作時間はこんな感じです(濁音、半濁音を含まない46文字の場合)。
所要時間 | 合計 | |
グルー | カット:約1時間 塗装:約4時間 |
約5時間 |
カラーサンド | カット:約1時間 塗装:約10時間 |
約11時間 |
乾かすときにも注意することがあります。
ひらがなは、濁音、半濁音まで入れると71文字、清音のみでも46文字です。
これだけの枚数を乾かすためには、けっこうなスペースが必要です。
何回かに分けて乾かす、など調整しましょう。
また、乾かしているカードを子どもが触ってしまうと、やり直しになってしまうこともあります。
子どもが手の届かない棚の上など、場所を確保しましょう。
「ひらがな砂文字板」の提示
砂文字板の準備が整い、子どもが興味をもったら提示をしていきます。
提示について詳しく知りたい方は、こちら をぜひご覧ください。
- 砂文字板を机に運ぶ
- 砂文字板を左手でおさえ、文字をなぞる
モンテッソーリ教育では、2本指でなぞるのが推奨されています。
ただ わが家の長男の場合、人差し指だけでなぞったほうがわかりやすい、とのことで人差し指でなぞっています。
- なぞったら、発音する
- 終わったら、片づける
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
砂文字板のお仕事は、書く順番が難しいポイントです。
子どもが苦戦していたら、一息ついたタイミングで 苦戦ポイントに絞ってゆっくり提示してみましょう。
個人的には書き順はそれほど重視していません。
ただ わが家の長男の場合、迷路のような感覚で逆からなぞったり、途中で折れ曲がったり、ということがありました。
これはさすがに…と思って再提示をしました。
「ひらがな砂文字板」のお仕事①
最初は、一筆書きで書ける文字からスタートします。
「し」「へ」「く」「つ」「て」「ひ」
「し」と「く」など2文字選んで、なぞって発音します。
2文字選ぶときのポイントはこちら。
- 文字の形が大きくちがう
- 音がはっきりちがう
そして、3段階の名称練習を使って 文字の形、発音を一致させていきます。
- これは「し」です。
「し」と「く」それぞれなぞって発音する。
- 「し」はどちらですか?
「し」と「く」を並べて聞く。
答えたら、なぞって発音してもらう。
- これは何ですか?
「し」を指さして聞く。
答えたら、なぞって発音してもらう。
段階を踏みながら、見て、聞いて、触って、文字の形と発音を身につけていきます。
「ひらがな砂文字板」のお仕事②
一筆書きで感覚をつかんできたら、発展させていきましょう。
子どもが書きやすい文字から段階的に進めていきます。
「い」「こ」「り」「け」「に」「た」など直線的な文字
↓
「の」「す」「よ」「は」など曲線が組み合わさった文字
↓
「あ」「お」「ね」「ふ」など書き順が多く複雑な文字
「い」と「こ」など2文字選んで、名称練習もしていきます。
「ひらがな砂文字板」のお仕事③
清音が身についてきたら、濁音、半濁音も紹介していきます。
が行、ざ行、だ行、ば行、ぱ行
「ひらがな砂文字板」実際にやってみた結果
わが家の長男の場合、4歳ごろに文字に興味を持ちはじめて取り組みました。
結果として、すべての砂文字をなぞる、ということはありませんでした。
うまく書けないひらがながあったときや気が向いたときに 何枚か取り出してやる、という程度。
どちらかというと、移動五十音カードを使ったり、紙に書いたりすることがメインでした。
まもなく6歳になる現在、砂文字板をやることは滅多にありません。
最終的に、ひらがなは身につきました。
感覚値ですが、モンテッソーリ教具10%、保育園90%の影響ではないかと思います。
わが家では 公文などの習い事やドリルをやっていません。
モンテッソーリ教具はきっかけで、保育園のお友達にどんどん影響されていった印象です。
一時期は、手紙を書くのが好きで 毎日のように手紙をくれました。
個人的には、子どもの様子を観察できたし、砂文字板をやってみてよかったなと思っています。
次男はまだ文字の敏感期がきてないので、どうなっていくのか観察してみますね。
まとめ ひらがな砂文字板のお仕事
ザ・知育、というかんじの砂文字板。
でも、「早くひらがなを覚えさせよう!」と意気込んで取り入れるのは あまりおすすめしません。
子どもの興味が向いていなかったら、イヤがられちゃいます。
わが家もちょっとフライングして、しばらく砂文字板に見向きもされませんでした。
文字に興味が出てきたら、「こんなのどう?」というかんじでさり気なく誘ってみましょう。