あかちゃんは 立てるようになると 活動範囲がどんどん広がっていきます。
「あっ!やめて‼︎」
と思う瞬間もいっぱい起こってきますよね。
たとえば…
- 本棚から本をどんどんひっぱり出す。
- 引き出しから服やタオルをどんどんひっぱり出す。
- ティシュやおしりふきシートをどんどんひっぱり出す。
これは 親を困らせたくてやっているわけではありません。
モンテッソーリ教育ではこれを「運動の敏感期」と とらえています。
子どもが本能的に「成長したい!」と行動するとても大切な時期ということです。
モンテッソーリ教育や「運動の敏感期」について説明しながら 手づくりの教具についても紹介していきたいと思います。
モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育は イタリア人のマリア・モンテッソーリ(1870〜1952年)が考案した教育方法です。
モンテッソーリ教育について詳しく紹介するのはまた別の記事で書こうと思います。
ここでは簡単に概要だけ紹介します。
モンテッソーリ教育が目指すこども像
子どもが本来もっている成長する力を最大限発揮できるように関わっていくモンテッソーリ教育。
モンテッソーリ教育を通じて 子どもはどんな姿になっていくのでしょうか?
- 自立していること
- 有能であること
- 思いやりがあること
- 責任感があること
- 一生涯通じて学び続けること
自立とは 自分で考えて行動できるようになる、ということ。
有能とは 優秀ではなく、自信をもって自分1人で できるようになること。
思いやりと責任感があるということは、すべて1人で孤独にやる というわけではなく、コミュニケーションを円滑にとりチームの一員としても行動できる姿が想像できます。
そして 知的好奇心を満たすために 主体的に学び 成長し続けていくということ。
まさにこれからの時代に必要な人物像です。
ただ、こんな理想的なことを並べられても、本当にそんなふうになるの?
と半信半疑ですよね。
いろんな教育メソッドでも同じように理想的なことが掲げられていますし。
モンテッソーリは 子どもを「観察」することで 理解します。
- 子どもは自発的
- 子どもは主体的
- 子どもは自らの力で育つ
- 子どもは大人とはちがう
「観察」することで 子どもが本来もっている成長する力がわかりました。
モンテッソーリ教育は 子どもが自らの力で育つのを助ける教育方法ということです。
そして 本来もっている成長する力が最大限発揮されると、モンテッソーリ教育が目指す子どもの姿へと成長していくのです。
では次に その力を最大限発揮できるように 具体的にどう子どもと関わっていくのか見ていきましょう。
モンテッソーリ教育の「子どもの活動のサイクル」
どのように子どもが本来もっている成長する力が発揮できるようにするのか。
モンテッソーリ教育の「子どもの活動のサイクル」を見ていきましょう。
《子どもの活動のサイクル》
子どもが発達を遂げる流れ
環境の整備 | ||||||||
・そこにあるのはすべて子どもサイズである ・大人は子どもがいまどの発達段階なのか「観察」する ・大人は最低限の手助けをする |
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↓ | ||||||||
提示 | ||||||||
用具や教具の使い方を丁寧に正確に見せる | ||||||||
↓ | お仕事 | |||||||
自己選択 | ||||||||
・子ども自身が興味のあるものを選ぶ ・発達の段階に合ったものを選ぶ |
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↓ | ||||||||
くり返しの活動 | 集中現象 | この流れの発達により人格が育つ | ||||||
↓ | ↓ | |||||||
満足感・達成感 | 正常化 | |||||||
本来のよさを発揮する | ||||||||
↓ | ||||||||
全人格的成長 | ||||||||
モンテッソーリ教育が目指す子どもの姿 |
発達の段階と見合った活動に出会えたときに 「集中現象」が見られます。
この「集中現象」がとても重要で、「集中現象」の積み重ねによって 子どもは内面も充実し、一個の人格としてトータルに発達を遂げていきます。
集中現象があらわれ、子どもの成長につながっていく活動が「お仕事」と呼ばれます。
「お仕事」は 遊び以上に子どもの成長に貢献できるものなんです。
モンテッソーリ教育が考える「子どもの発達」
それは「発達を遂げなさい」ということだ。
モンテッソーリが考える発達の4段階は こちらの図のようになります。
《発達の4段階》
幼年期 | 児童期 | 思春期 | 青年期 | ||||||||||||||||||||
0 | 3 |
6 |
9 |
12 | 15 |
18 | 21 | 24 | |||||||||||||||
前期 | 後期 | 前期 | 後期 | 前期 | 後期 | 前期 | 後期 | ||||||||||||||||
第1段階 | 第2段階 | 第3段階 | 第4段階 | ||||||||||||||||||||
変容期 | 安定期 | 変容期 | 安定期 |
発達は連続していくもので、基礎の第1段階がとても重要です。
この基礎の時期の発達に欠かせないのが「敏感期」です。
敏感期とは?
子どもがある能力を身につけるために、外界のあるものに特に敏感になり、子ども自ら主体的に働きかける、ある一定の時期のこと。
「敏感期」の吸収力は すさまじいものです。
ただ この時期を過ぎてしまうと吸収力が落ちてしまうので、この大事な時期を有効に使うことがとても重要です。
「敏感期」は 大きく6つに分類されます。
- 言語の敏感期
- 秩序の敏感期
- 運動の敏感期
- 感覚の敏感期
- 数の敏感期
- 文化の敏感期
この「敏感期」に連動した モンテッソーリ教育の5分野というものがあります。
《モンテッソーリ教育の5分野》
日常生活の練習(運動の敏感期) | ||||
1つ1つの動きを孤立して伝えることにより、自分の意思どおりに動く体をつくる | ||||
↓ | ||||
感覚教育(感覚の敏感期) | ||||
・感覚を個別に刺激し、無意識に吸収した感覚印象を整理する ・ペアリング(対にする)、グレーディング(段階づける)、ソーティング(分類する)をすることで知性を覚醒する |
||||
↓ | ↓ | ↓ | ||
言語教育 (言葉の敏感期) |
算数教育 (数の敏感期) |
文化教育 (文化の敏感期) |
こういった教育を通じて 子どもは成長していきます。
モンテッソーリ教育とは 子どもを「観察」し、子どもがいま「敏感」になっているもの(興味をもっているもの)に対して「環境」を提供し、子どもが本来もっている成長する力を最大限に発揮できるようにする教育です。
モンテッソーリ教育の「運動の敏感期」とは?
「運動の敏感期」は幼児期全般のものですが 大きく2つの時期に分けられます。
運動そのものを身につける時期
歩く、立つ、座る、運ぶ、など
より細かい動きを身につけていく時期
折る、切る、縫う、書く、など
「運動の敏感期」に 子どもは ありとあらゆる動きを全力投球します。
これは 自分の思いどおり自由自在に体を動かせるように、一生懸命に習得しているのです。
たとえば 必死に階段をのぼったりおりたりするのは、本能的にいまその運動の習得が必要とわかっているのです。
たいへんそうだな と思うことも、子どもは苦しみながらではなく 嬉々として体を必死に動かし習得していきます。
- ティッシュをどんどんひっぱり出す → ひっぱり出す腕、手の動きを習得している
- 椅子や重いものを押したり、ひっぱる → 全身で力を入れて動かすことを習得している
大人からすると困ったいたずらに思うことも 子どもにとっては必要なことなんですね。
子どもの成長に必要な「運動の敏感期」を最大限に発揮できる「環境」を提供していければと思っています。
【モンテッソーリ教育「運動の敏感期」の教具】ティシュ箱の材料と費用
ではここから ひっぱる「敏感期」の子どもにおすすめの布ティッシュ箱の作り方を紹介していきます。
材料は すべて家にあるもので作れます。
もしなかったとしても 百均ですぐ揃えることができます。
- 家にあるいらない布(フェルトや木綿など なんでもOK) ¥ 0
- ティシュ箱ケース ¥ 110
- ダンボールやティシュの空き箱(ティシュ箱ケースの底がゴムの場合のみ必要) ¥ 0
合計 ¥ 110
あまっているティシュ箱ケースがお家にあれば 費用はオール ¥ 0 です!
ティシュ代わりになる布が もしお家になかったら 百均でフェルトや色んな布が買えます。
フェルトは厚みがあるので枚数が少なくなります。
薄い布だと枚数がたくさんつくれます。
ただ その分たくさんたたんで準備する必要があります。
ぜひお好みの布で試してみてください。
わが家は薄めの布20枚でつくりました。
ティシュ箱ケースは 底があるものがオススメです。
↓こんなかんじで 底がゴムだけのものだと 底をつくって支えるものが必要です。
作り方のところに詳しく書きましたので よかったら参考にしてみてください。
【モンテッソーリ教育「運動の敏感期」の教具】ティシュ箱の作り方
準備する道具は こちらです。
- 裁ちばさみ
- カッター(ティシュ箱ケースの底が ゴムの場合のみ必要)
- 布を15㎝ 四方にカットする。
- 箱ティシュと同じようにたたんでいく。
- ティシュ箱ケースに入れて完成!
作り方は とっても簡単です。
順番に 説明していきますね。
- 布を15㎝ 四方にカットする。
チャコペンやヘラで印をつけ、裁ちばさみでカットします。
フェルトだとカットしたままでもほつれてきません。
それ以外の布だとほつれてくるので、気になる方はミシンでかがり縫いをしてもよいと思います。
わが家はミシンがないので ボンドを薄く塗って乾かして ほつれ止めの代わりにしました。
- 箱ティシュと同じようにたたんでいく。
まず すべての布を半分に折ります。
そして 半分に折った布を交互に挟みこんで重ねていきます。
①半分に折って重ねます。
②下の布を折ります。
③折った布の上にもう1枚重ねます。
④反対側の布を折ります。
⑤折った布の上にもう1枚重ねます。
⑥くり返していきます。
折り畳んでケースに入れるまで 動画もあるので参考にしてみてください。
- ティシュ箱ケースに入れて完成!
ティシュ箱ケースの底があれば 折りたたんだ布を入れて完成です。
ティシュ箱ケースの底がゴムの場合は、ダンボールやティシュの空き箱などを底の代わりにして布をセットします。
【モンテッソーリ教育「運動の敏感期」の教具】ティシュ箱を手づくりしてみた結果
満足度を表にしてみました。
お金 | |
時間 | |
完成度 |
子どもは喜んで何度もひっぱり出していました。
こんな様子でした。
わが家の場合は 1歳半〜2歳すぎくらいまで よく遊んでいました。
思ったより長く楽しんでくれてよかったです。
ちょっと面倒なのは、全部出したら また たたんで戻すところです。
それも 次の運動の敏感期「折る」の前準備として活用してみるのもよいと思います。
わが家では こんなかんじでしていました。
全部ひっぱり出したら
「いっぱい ひっぱり出せたね。お母さん、折ってみるから 見ててね」
と言って ゆっくり、丁寧に、折るのを見せます。
興味をもったら一緒にやってくれることもありました。
折っていると 上の子がやってきて 折る見本をみせてくれたりもしました。
ひっぱるのが大好きな「運動の敏感期」にピッタリなティシュ箱を 手づくりしてみてはいかがでしょうか。