「1、2、3、…」と一生懸命 数えたり。
「10の次は何?」という質問が出てきたり。
4歳ごろになると 数にとても興味をもってくるのではないでしょうか?
そんな数の敏感期におすすめの「金ビーズ」を手づくりしてみました。
モンテッソーリ教具【金ビーズ】とは
金ビーズは モンテッソーリの「算数教育」で使われる「教具」です。
《モンテッソーリ教育の5分野》
日常生活の練習(運動の敏感期) | ||||
1つ1つの動きを孤立して伝えることにより、自分の意思どおりに動く体をつくる | ||||
↓ | ||||
感覚教育(感覚の敏感期) | ||||
・感覚を個別に刺激し、無意識に吸収した感覚印象を整理する ・ペアリング(対にする)、グレーディング(段階づける)、ソーティング(分類する)をすることで知性を覚醒する |
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↓ | ↓ | ↓ | ||
言語教育 (言葉の敏感期) |
算数教育 (数の敏感期) |
文化教育 (文化の敏感期) |
「日常生活の練習」から「感覚教育」を経験し、数に興味をもち始めたら「算数教育」をやっていきます。
「感覚教育」の中には「算数教育」につながる数の要素があり、この金ビーズも 視覚三教具の「ピンクタワー」「茶色の階段」「赤い棒(長さの棒)」からのつながりを体感することができます。
では、金ビーズについて 詳しくみていきましょう。
モンテッソーリ教具【金ビーズ】の目的
金ビーズの目的は 大きく2つあります。
- 十進法を理解する
- 数量感をつかむ
十進法を理解する
1が10集まると次の位10になり、10が10集まると次の位100になり、100が10集まると次の位1000になる、…
わたしたちが普段あたりまえに使っている十進法を 金ビーズを使って体得していきます。
数量感をつかむ
1、10、100、1000、…と 大人は数字を見て その数の大きさを理解できます。
子どもは まだ大人のような抽象的な考え方ができません。
目で見て 手で触って、大きさや重さで 数の大きさのちがいを体感し 学んでいきます。
数量感をつかむだけなら どんなカタチでもよさそうですが、金ビーズはどうしてこのようなカタチなのでしょうか?
実は、金ビーズのそれぞれの位のカタチにも意味があります。
これまで視覚三教具で体感したことを、数とつなげて理解していくための要素が入っているのです。
どういうことか、具体的に説明していきます。
視覚三教具それぞれの最小を1としたとき、最大のものは何倍になるかみてみましょう。
最小 | 最大 | 金ビーズ | |
---|---|---|---|
赤い棒 | 1 | 10 | |
茶色の階段 | 1 | 100 | |
ピンクタワー | 1 | 1000 |
赤い棒は1:10、茶色の階段は1:100、ピンクタワーは1:1000となります。
10の金ビーズは 赤い棒を連想させるような棒のカタチをしています。
100の金ビーズは 茶色の階段の側面と同じ正方形のカタチをしています。
茶色の階段は この側面の正方形の大きさが1㎝ずつ変化していくので、正方形で茶色の階段を連想させます。
1000の金ビーズは ピンクタワーの立方体と同じカタチです。
さらに言うと、視覚三教具は それぞれ1次元、2次元、3次元をあらわしています。
赤い棒は 棒、つまり線なので、1次元をあらわしています。
茶色の階段の側面は 正方形、つまり面なので、2次元をあらわしています。
ピンクタワーは 立方体で 3次元をあらわしています。
視覚三教具で それぞれ別々に体感した次元を 金ビーズではまとめて確認していきます。
こういった要素は 子どもには説明しません。
子どもは 教具をとおして、知らず知らずのうちに 数学の要素を体感していくのです。
モンテッソーリ教具【金ビーズ】の詳細
金ビーズは、直径7㎜の金色ビーズで つくられた「教具」です。
十進法の教具1
1の金ビーズ1個、10の金ビーズ1本、100の金ビーズ1枚、1000の金ビーズ1個。
1、10、100、1000の紹介で使う教具です。
十進法の教具2
1の金ビーズ9個、10の金ビーズ9本、100の金ビーズ9枚、1000の金ビーズ1個。
数詞と量を一致させたり、数字と量を一致させるために使う教具です。
正規品購入なら モンテママのたからもの がおすすめです。
お買い得なのは「Wish」がおすすめです。
モンテッソーリ教具【金ビーズ】の「提示」
モンテッソーリ教具は 好きなように遊ばせる、というわけではなありません。
まず大人が子どもを「観察」し、その子どもの興味が向いている「教具」に誘うところから始まります。
「教具」の使い方を やってみせることを「提示」といいます。
言葉ではなく 動作で教えます。
- まわりに気が散るものを置かない(子どもに集中して見てもらう)。
- 教えたい行為を一つだけ取り出す(つかむ、置く、など)。
- その行為を構成する動作を分析する(つかむとき どう腕を出して どの指から触っていくか)。
- 一つひとつの動作を はっきり、ゆっくり、正確に示す(普通のスピードの8倍スローで)。
- 話しかけるときは動作を止める。動作を見せるときは話さない。
- 難しそうなところはくり返す。
ここでは 金ビーズでする最初の「お仕事」を紹介します。
量と数詞を一致させるのが目的です。
「じゅう」はどれくらいの大きさと重さで、「ひゃく」はどれくらいの大きさと重さか、ということを体感します。
「提示」は このようになります。
金ビーズの「提示」 ー 1、10、100、1000の紹介 ー
- 1のビーズを手に取って「これは1です。言ってみようか」と1を紹介する。
- 10のビーズを持ち「これは10です。数えてみるね」と1のビーズを使って数える。
- 100のビーズを持ち、10のビーズを使って数える。「1じゅう、2じゅう、…。10が10で100。言ってみようか」と100を紹介する。
- 1000のビーズを持ち、100のビーズを使って数える。「1ひゃく、2ひゃく、…。100が10で1000。これは1000です。言ってみようか」と1000を紹介する。
- 紹介が終わったらビーズを順番どおりに置く。「1のビーズはどれですか?」と聞いていく。ビーズをランダムに並べ替えてまた質問する。
- ビーズを元の順に並べなおす。「これは何ですか?」と質問していく。ビーズをランダムに並べ替えて同じように質問する。
他にも 数字カードを使って、数字と数詞を一致させる「お仕事」もあります。
「提示」がおわって いよいよ子どもが自分でやってみる!となったとき、ポイントを意識しながら見守っていきましょう。
ついつい口や手を出して 訂正しそうになるのを 我慢です。
- 子どもがやっているところを訂正しない。やり終わってから もう一度「提示」する。
- くり返し教える。1回「提示」して終わりではない。
- 自分からやりたいときに やらせる。自己選択が成長の最初の段階。
子どもが興味をもつ時期を逃さずに 「環境」を提供して見守っていけるといいですね。
モンテッソーリ教具【金ビーズ】材料と費用
- ビーズ8㎜ 2,100個 税込 2,600円
- スチール針金 88本分 3本 税込 330円
- テグス9号( 約0.5㎜ × 30m ) 税込 110円
- 牛乳パック 3つ
- ケース 税込 110円
計3,150円
既製品は7㎜の金色ビーズですが、ちょうどよいのが見つからず…
フリマアプリで 8㎜ビーズを大量に お安く購入しました。
色は 金色がなかったので アイボリーにしました。
出費は正規品の6分の1におさえることができました。
材料はこんなかんじです。
モンテッソーリ教具【金ビーズ】の作り方
- ビーズを針金にとおして 10のビーズをつくる
- 10のビーズをテグスでまとめて 100のビーズをつくる
- 100のビーズをテグスでまとめて 1000のビーズをつくる
- ケースを牛乳パックで仕切る
実際に作っている動画もあるので 参考にしてみてください。
では 順番に作り方を説明していきますね。
ビーズを針金にとおして 10のビーズを作る
- 針金に10個ビーズをとおす。
- 針金の端 2.5㎝ をペンチで曲げる。
- 針金の反対側を2.5㎝ 残してペンチで切り、曲げる。
両端の針金を曲げる向きが揃うと キレイな仕上がりになります!
完全に揃えるのはむずかしいですが 意識してやってみましょう。
揃っていると 100のビーズ、1000のビーズのときの仕上がりが まったく違います!
10のビーズは すぐに作れちゃいます。
あとは これをひたすら繰り返します。
10のビーズは なんと199本必要なのです!
1本 1分半くらいで作れるので 全部作るのに合計で約5時間かかります。
わたしは 内職のように 空いた時間で せっせっと作っていきました。
これは単純作業なので慣れれば 楽しくサクサク作れます。
たいへんなのは ここからです。
10のビーズをテグスでまとめて 100のビーズを作る
- 10のビーズを10本並べる。
- テグスを40㎝くらいの長さに切る。
- 1本目の10のビーズの1個目と2個目のビーズの間にテグスを入れて交差させる。
- 2本目の10のビーズも同じようにテグスを交差させて ビーズを固定する。
- 10本目までいったら 少し折り返して テグスを結ぶ。
- 結んだあと テグスを1㎝くらい残して切る。
- 残ったテグスは編み込むようにして処理する。
- 同じように反対側の端もテグスで固定する。
赤い線のところに テグスを交差させて10のビーズを固定します。
アップ写真で見ると こんなかんじです。
テグスをうまく使えず最初は苦戦しました…。
でも 100のビーズは平面なので まだやりやすかったです。
最後の難関は 立体の1000のビーズを作るところです…!
100のビーズをテグスでまとめて 1000のビーズを作る
- 100のビーズ2枚をテグスで固定する。
- 2枚ずつ固定した100のビーズ2つをテグスで固定する。
- 4枚セットになったビーズ2つをテグスで固定する。
- 8枚セットになったビーズと2枚セットになったビーズをテグスで固定する。
なんとか形にはなりました。
ビーズの間にテグスを通すのは4枚まとめるくらいまでは できました。
8枚セットにするときは 針金の部分にテグスを通して固定しました。
ただ、針金の向きがそろってなかったり テグスが見えていたりと 完成度はイマイチ…。
ケースを牛乳パックで仕切る
- 牛乳パックの一辺を切り、底をななめに切る。
- 開いて、ケースの長さに合わせて切る。
- 両面テープで固定する。
これで 完成です!
モンテッソーリ教具【金ビーズ】を手づくりした結果
満足度を表にしてみました。
お金 | |
時間 | |
完成度 |
- 1000の重量感を感じられる
- 時間がかかる
- 既製品のようにはキレイに仕上がらない
費用対効果としては、購入してもよかったかな と思います。
プラスチック版ですとかなりお手頃ですし、ビーズでも4,000円台のものもあります。
出費は正規品の6分の1でおさえられましたが、つくる時間が合計8時間ほどかかりました。
仕上がりはまぁ満足、というかんじです。
スチール針金の向きや大きさをキレイにそろえられなかったり、1000のビーズはテグスがうまく処理できなかったり。
数の量感をつかむのが目的なので、感覚教具のように精巧な美しさはなくても まぁよしとしました。
数の敏感期の長男には ちょうどささったようで、よく選んでやっています。
自分でつくるのが苦じゃない方は 手づくりしてみてはいかがでしょうか。