子どものお絵かきのタッチは、成長に合わせてどんどん変わっていきますよね。
ダイナミックなタッチから、だんだん小さく繊細なタッチもできるようになります。
この子どもの手の動きが変化する時期におすすめなのが「メタルインセッツ」のお仕事です。
子どもからのサイン!「メタルインセッツ」のはじめどき
メタルインセッツは、鉛筆をしっかり持てるようになる3歳ごろが はじめどきです。
具体的な子どもからのサインは、こんなかんじです。
- 画用紙いっぱいに力強く描いていたのが、丸などを描くようになった
子どもの絵が変化するのは、
「手の動き、指の力を調整して、自分が思うように動かしたい!」
というサインです。
サインをキャッチしたら、メタルインセッツのお仕事に誘ってみましょう。
「メタルインセッツ」のお仕事とは?
メタルインセッツは、モンテッソーリの言語教具です。
《モンテッソーリの言語教育の流れ》
話し言葉 | |
語彙を豊かにする | |
↓ | |
書き言葉 | |
書き方 | 読み方 |
●書き方の間接準備 ・音節あそび ●書き方への直接準備 ・メタルインセッツ ・砂文字板 ・絵カードあわせ ・文字ならべ ・単語ならべ ・文字探し・小さな黒板 ・なぞり文字 ・市松模様の紙 ●書き方の完成 ・清音・濁音・半濁音の紹介 ・特殊音節の紹介 |
●単語を読む ・物と名前カード ・小さいバスケットⅠ、Ⅱ ・小さい本Ⅰ、Ⅱ ・絵カードあわせ ●短文を読む ・小さい本Ⅲ ・赤いカードあそびⅠ、Ⅱ ●文章を読む ・絵本を読む ・科学的に分類された絵カード |
↓ | |
文法 | |
品詞の機能 | |
↓ | |
文章構成 | |
主語と述語 |
参考:松浦公紀「モンテッソーリ教育が見守る子どもの学び」学研,2004年6月,P94-95
このように、メタルインセッツは「書く」お仕事の最初のステップに位置づけられています。
10種類の図形が はめ込まれている鉄製の教具で、図形のふちを鉛筆でなぞって書きます。
《10種類の図形》
曲線で囲まれた図形
円形・楕円形・卵形・曲線三角形・花十字形
直線で囲まれた図形
三角形・正方形・長方形・台形・正五角形
手づくりは難しいので、家でやってみるなら購入、もしくはレンタルがおすすめです。
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メタルインセッツのお仕事をするには、教具以外にもそろえるものが必要です。
- 芯のやわらかい色えんぴつ
- 紙(15 × 15 ㎝ )
- トレー
色えんぴつは芯がやわらかい6Bくらいのものを用意しましょう。
くもんの三角えんぴつは子どもが持ちやすくておすすめです。
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紙は、折り紙がちょうどよい大きさです。
薄い色の折り紙を集めて、白い面を表にして使うのがおすすめです。
「メタルインセッツ」のねらい
ねらいは3つです。
- 手や指先の力を調整できるようになる
- 将来学ぶ幾何学への興味につなげる
- 集中力がつく
- 手や指先の力を調整できるようになる
メタルインセッツのお仕事は、図形を手でしっかりおさえ、手や指先の力を調整し、手をしなやかに動かして描く必要があります。
くり返し取り組むことで、手や指の動かし方、力の入れ方を身につけていくのです。
これは、ひらがなを書く準備にもつながります。
- 将来学ぶ幾何学への興味につなげる
メタルインセッツの前段階となる感覚教育にも幾何図形が出てきました。
感覚教育のときと同様に、ここでは幾何図形についてくわしく説明したりはしません。
幾何図形について教えませんが、子どもの印象には残っていきます。
これから先に学ぶ幾何学のきっかけを与えている、ということなんです。
- 集中力がつく
メタルインセッツを使って、ゆがんだりずれたりせずに図形を書くには集中力が必要です。
最初はうまく手を使えなくても、くり返し取り組むことで集中力が高まっていきます。
「メタルインセッツ」の提示
メタルインセッツの準備が整い、子どもが興味をもったら提示をしていきます。
提示について詳しく知りたい方は、こちら をぜひご覧ください。
- 色えんぴつ3本と紙を用意し、図形を1つ選んでトレーにのせる
- 机に運び、紙とフレームをセットする
- フレームを左手でおさえ、右手で色えんぴつを持ち、フレームをなぞる
- なぞり終わったら色えんぴつを置き、フレームをとる
- はめ込み図形を書いた図形に重ねて置き、2本目の色えんぴつでなぞる
※ 右利きの子どもに対しての提示です
- 図形の右側からなぞり、左手のところで鉛筆を紙から離す
- 手を交差させ、図形の左側をなぞる
- 3本目の色えんぴつで図形の中に直線をひく
- 終わったら、片づける
提示のポイントは
- 1つひとつの動作をゆっくり(8倍スロー)
- 難しいところはくり返す
- 子どもが見ているか確認しながら進める
です。
メタルインセッツのお仕事の難しいポイントは、
- 図形を手でしっかりおさえる
- 鉛筆で図形をなぞる
です。
子どもが苦戦していたら、一息ついたタイミングで 苦戦ポイントに絞ってゆっくり提示してみましょう。
メタルインセッツは、難易度をだんだん上げていけるように工夫されています。
具体的には「フレーム → はめ込み図形 → 直線を書く」の順で難しくなっていきます。
① フレーム
枠をなぞるので、えんぴつがフレームに引っかかり書きやすい
② はめ込み図形
フレームのときとは逆の方向に力を向けないと、えんぴつが図形から離れていきやすい
③ 直線を書く
自力で、何のガイドラインもなく線を書く練習をする
このように、難易度を少しずつ上げることで、子どもは「できた!」という自信を持って取り組めます。
「メタルインセッツ」のお仕事①
最初は曲線で囲まれた図形からはじめます。
直線はなぞりやすいですが、角をなぞる動きが最初は難しいからです。
曲線で囲まれた図形に慣れてなぞる動きが身についてきたら、直線で囲まれた図形に進みます。
① 曲線で囲まれた図形
楕円形 → 円形 → 卵形 …
② 直線で囲まれた図形
正方形 → 長方形 → 三角形 …
「メタルインセッツ」のお仕事②
使い方をマスターすると、子どもは自由にアレンジしてお仕事を発展させていきます。
- 同じ図形をずらして重ねる
- ちがう図形を重ねる
- 図形の中を塗りつぶす
「メタルインセッツ」の次は?
メタルインセッツで、思うように手を動かせるようになったら、次は文字を書く練習です。
「ひらがな砂文字板」に進んでいきましょう。
まとめ 「メタルインセッツ」のお仕事
思うようにえんぴつを動かしたい子どもにおすすめな メタルインセッツ。
子どもからのサインをキャッチしたら環境を用意してみましょう。